持ち家・住宅ローンはインフレ対策になる!

最近はインフレもすっかり身近になってしまい、インフレ対策として貯金だけではダメなんだなというマインドが徐々に世間に広まってきました。一般人にとって、インフレ対策は株や貴金属投資がメジャーですが、住宅ローンを組んで不動産を購入することも立派なインフレ対策になり得ます。今回の記事では、FPであり自身も住宅ローンを組んでいる私がインフレ対策の観点から解説していきます!

 

インフレとインフレ対策

まずインフレについて簡単に触れておくと、物価やサービスの価格が上昇すすることで、相対的に現金の価値が下がっていくことです。

 

例えば、1990年頃にはチョコボールは1箱60円。安いスーパーで買えば100円で2個買えました。当時はピーナッツ、イチゴ、キャラメルの3つの味があって、どの2つにするかで子ども時代は悩んだものです。しかし、今は1箱100円くらいになっています。スーパーでも90円くらい。100円あっても1つ買うのがやっとです。

 

お金の購買力が下がる、これがインフレ。

 

そしてインフレには良いインフレと悪いインフレがあります。良いインフレは、物価が上がる分、企業の売り上げが上がり、社員の給料が増えて、そのお金が消費に回る。この循環が回って、経済規模が拡大していくインフレです。国はこのインフレを目指し、2%のインフレ率を目標にしています。

一方、悪いインフレとは、物価が上がるけれど企業が価格転嫁できず、業績が悪くなり、給料は上がらない、そして消費は冷え込む。。。と経済がどんどん元気を失っていくインフレです。これが進むとスタグフレーションという状態になります。つまり、景気後退とインフレが同時進行する経済状況です。

 

さて、話をインフレに戻しますと、インフレが進むとお金の価値はどんどん下がっていきますので、大切に貯金していても、目減りしていってしまいます。老後資金や教育資金を溜めていても、日々目減りするのでは、たまったものではありませんよね。

 

そこで、インフレに対する対策を考えていく必要があります。一般的なインフレ対策として、お金を現物資産に変える方法があります。株や貴金属、最近だとレアなトレーディングカードとかに変えておくことで、価値の保存を試みるわけです。

 

先ほどのチョコボールの例だと、30年前に60円で買ったチョコボールを保存しておけば、今なら100円で売れるので、現金で持っていた人と比べるとお金の価値を維持できていますよね。(賞味期限については無視させてください。。)

 

インフレ対策としての住宅ローン

お金を現物資産に変える方法の一つに不動産がありますが、大きなお金が必要となるため、一般人にはハードルが高いですよね。しかし、不動産といっても投資用のみが当てはまるわけではなく、住宅ローンを組んで居住用に購入した不動産も立派なインフレ対策になります。

 

インフレはお金の価値が下がることなので、当然借金の価値も下がります。もし物価が2倍になったら、借入金の額が1/2になったのと同じことです。また、住宅ローンを組むときに固定金利を選んでいれば、通常インフレ時には上がる金利に対する備えもすることが出来ます。

 

インフレが進みながらも低金利、このような状況においては、出来るなら借金をして、そのお金を物に変えることが有効なインフレ対策と考えられるんですね。住宅ローンはまさに、それを行っているわけです。ちなみに、賃貸の場合はインフレが進むと家賃が値上がりしていくので給料が増えないとどんどん家賃負担が重くなっていきます。

事例を使ってみてみましょう。

現在 10年後
固定金利の

住宅ローン返済

Aさん

毎月10万円

の返済

毎月10万円

の返済

賃貸で家賃支払い

Bさん

毎月10万円

の家賃

毎月12万2000円

の家賃

Aさんは固定金利で住宅ローンを借り入れ、持ち家を購入。一方、Bさんは賃貸暮らし。現時点ではどちらも月10万円の負担として、毎年2%のインフレが続いていく、というモデルを考えてみると

10年後にはAさんは変わらずに10万円の返済ですが、Bさんの家賃は12万円以上になります。住宅ローンがインフレ対策として機能していることが分かりますね。

 

これは単純な事例であって、家賃は簡単には値上げされない傾向にあるものではありますが2023年8月時点では徐々に家賃相場が上がってきています。

 

なお、ここで注意なのですが、不動産取得がインフレ対策として機能することと、その物件の資産価値が将来どうなるか、ということは別で考える必要があります。マクロな傾向を捉えるのであれば、建築資材の高騰、職人不足等を理由に不動産価格は上がっていくことは考えられますが、日本全国、すべての物件がその恩恵を受けるわけではありませんよね。

 

都心の人気エリア、駅近、商業施設へのアクセス良好など、条件が良い物件は価値は上がるかもしれませんが、辺鄙な場所に買った家の価値がインフレで上がるということは、ほぼないでしょう。

 

まとめ

最後まで読んで頂きありがとうございました!

今回の記事では、一見悪者に見られる住宅ローンについてインフレ対策という角度から記事にしてみました。日本はインフレ時代に突入しつつありますので、しっかり対策していきたいですね!