【感想・レビュー】相場を動かすブルの心理、ベアの心理

相場を動かすブルの心理、ベアの心理という本を

短期トレードの役に立つかもということで、半ばタイトル買いしました。

あとがきまで入れて447ページという分厚さで、

買ってからずっと積読状態だったこの書籍、祝日を利用してついに読みました!

この記事では本書籍の内容について簡単にご説明しつつ、

感想や思ったことなどをシェアしたいと思います!

キャピクエくん
表紙の絵が可愛い!
私はどちらかというとブル派です

 

概要&総括

本書籍はマーケットにおける投資家や投資に関わる人々の行動について、

心理学的な観点から解説を加えるもので、なかなか珍しいタイプの本です。

著者のデービッド・コーエン氏は心理学者でトレーダーや投資家ではないため

ある意味客観的にトレーダー・投資家を分析出来ているのだと思います。

 

2001年に出版されたものなので、もう20年前の書籍になり、

過去のバブル崩壊の例でチューリップバブルなどを扱っていたりと

内容面で古さを感じる部分もありますが、

人間の心理は10年、20年程度で大きく変わるものでもなく、

後述しますが今の相場環境と関連していたり、今でも参考となる内容です。

 

対象はどちらかと言えば中期~長期投資家向けなのかな、

という印象で、短期トレーダー目線でヒントを求めて購入したため

その点では残念だったものの、長期投資もやっているので

勉強になることも多かったです。

*比較的古い本のため、Amazonなどで中古品を探すと良さそうです。

いくつか書店を探したのですが、見つかりませんでした^^;

 

本書で紹介される内容から印象的なものを紹介

バブル相場

第一章では、投機ブームの歴史を有名な1630年代のチューリップバブル、

1720年代の南海泡沫事件、などを紹介しながら

バブルに踊る人々の末路を説明しているのですが、

個人的には今(2021年11月)の仮想通貨やNFTアート等の価格高騰が

非常に似たものであることが興味深いなと思いました。

 

価値基準は人それぞれではありますが、

一般的にはデジタルデータに何万ドルもの価値があるわけがない事は

皆分かっているにもかかわらず、価格が上がり続けているのは

チューリップバブルの説明と一致している。

当時はチューリップの球根1つに

戸建て1件と同じくらいの値がつくこともあったようです。

 

今1BTCあれば地方に中古で戸建てくらい買えるくらいの値が付いていますが、

はたして今後、仮想通貨バブルがはじけるのか、

今の価値もしくはもっと高い価値が定着するのか。。。

いずれにしても、1630年代のオランダの人々は

まさにこんな感じの感情だったんだろうと臨場感が感じられます。

 

投資ブーム



本書では世界恐慌の直前、ウォール街のカリスマ相場師が

「毎月20ドルずつ二十年間株に投資、配当金も再投資すれば金持ちになれる」

といった記事をレディーズ・ホーム・ジャーナルに掲載したり、

「投資をして、ダウが上がるのを待てばいい」

という風潮であったことが書かれています。

これ、一巡して最近よく聞くフレーズじゃないですか?

 

「毎月給料から一定額でS&P500を積み立てましょう」

「アメリカ株式は歴史的にはずっと右肩上がりだから大丈夫」

今まさに皆が口々に言ってることですよね。

 

また、本書を翻訳した椿正晴さんのあとがきには、

最近マネー誌で

「月々3万円、30年で3,000万円を作りましょう」

「これからは年金に頼らず投資信託を活用して自助努力」

といったことが言われている、と書いてあります。

冒頭で触れたとおり本書は20年前の本なんですが、

なんだかこれらも今も良く聞く話ですよね。

こうしてみると、結局20年経っても相場も

そこに関わる人の考えも大して変わっていないことが分かります。

 

相場参加者の心理

心理学だったり、トレードの勉強をしている人には

馴染みがある内容かも知れませんが、

ある知識が別の知識と矛盾した状態のことを「認知的不協和」というそうです。

人はこの状態がとても不快であり、その不快感を軽減するために

頭ではダメだと分かっていても奇妙な行動をとってしまうことがあります。

 

例えば、株価が上昇しているような場面で、

1.株価は上がりすぎていてもう高値圏である

2.機会損失の結果、自分だけ儲け損なうかも

という二つの考え方が矛盾してしまい、

たとえば、2の考え方を一度採用してしまうと

買った株はまだまだ値上がりする、という証拠ばかり集めてしまったり、

値下がりしだしても、なんやかんや理由を付けて間違いを認めず、

塩漬け、ナンピン、といった悪手を取るようになってしまいます。

自分の選択を正当化しようとするんですね。

 

自分が投資しているとき、またはトレードしているとき、

認知的不協和により変なバイアスがかかった行動をしていないか、

じっくり考えてみることで、損失を回避できそうですね。

 

まとめ

最後まで読んで頂きありがとうございました!

今回はデービッド・コーエン著の「相場を動かすブルの心理、ベアの心理」

という本を読んだので、その中から何点か面白かった点をご紹介致しました。

本書は447ページもあり、とても全てをご紹介しきれないので

気になった方はぜひ読んでみて下さい!

定価は2400円と少し高いですが、中古で1000円以下で購入できます。

 

少し古い本ですが、記事内でも触れているように今でも変わらない

人間の心理と投資の関係について学ぶことが出来る本なので、

自身の投資・投機スタイルに限らず、ご参考にどうぞ!